日刊工業新聞 2001.1.31

受賞者決まる(大阪市都市型産業振興センター)

360度を1台で撮影  −自動車運行記録に応用へ−

360度の映像を機械的な構造を用いず、1台のカメラで撮影することが可能なのが全方位センサー。ヴイストンは、この基幹技術を自動車用の画像ドライブレコーダーに応用し、事業化することを目指している。360度周囲の画像が撮れる特性を生かして、防犯、医療、福祉、産業用、アミューズメント分野などで事業化を進める考えだ。同センサーは筒状のシンプルなもので、筒内上部の凸面に写った画像を下部の電荷結合素子(CCD)カメラで撮影する。量産により低コストが可能。また現状では市販のCCDカメラを使っているが「会社に力が付き、機能を絞ったCCDを当社向けに生産してもらえば、さらにコストは下がる」(大和信夫社長)。撮影した全周画像を切れ目なく展開するアプリケーションも開発している。これまでにアプリケーション開発者向けに全方位ゼンサー評価キットを約100セット販売。今年からは方針を変え「全方位センサーを使いベースとなるシステムを作り、すでにマーケットを持っている企業と共同で商品に仕上げる」(同)考えだ。マーケティング面は共同研究の相手企業の情報を活用し、同社はより研究開発に専念できる。同社には全方位センサーの発明者で特許保有者である石黒浩和歌山大学システム工学部助教授が取締役として参加し、技術提供だけでなく開発にも積極的にかかわっている。また日本LSIカードの大木信二社長、システクアカザワ(大阪市)の赤澤洋平社長が出資、取締役になっている。2000年8月設立の新しい会社だが、産学官連携推進のモデルとしても成長することが期待されている。

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