中日新聞  2001.12.11

山田村が電脳進化

「360度カメラ」を農業管理に活用

パソコンの全戸配布など電脳の村として知られる富山県山田村は、農業の生育管理などの効率化を図るため、360度のパノラマ撮影可能な最新鋭のテレビカメラを活用した、新しい農業管理システムの実践に乗り出した。10日、同村を会場に、地域情報化を推進する各地の自治体などが参加して開かれた「第7回電脳山田村塾」で、村側が発表した。

 システムは、石黒浩・和歌山大学教授が開発したパノラマウ撮影カメラを使い、映像データを基に農作物の生育状況や農地の環境を把握、管理する。

 このカメラは、円すい形の鏡を使った全方位センサーでパノラマ画像を撮影、その画像を一般のカメラ画像に変換してパソコンのモニターで見ることができる。従来のカメラで撮影するのに数台が必要だった範囲を1台でカバーするきとが可能になった。

 山田村は昨年末から、村内の水田や畑に試験的に数台のカメラを設置し、応用化を目指してきた。今後、活用を本格化していき、村内に光ファイバーの敷設が完了する1年半後には村内全域に広げる計画。温度や湿度、照度を感知できるセンサーを併用して農家が自宅であらゆる農業データを一括して管理できるようにもしていく。

 山田村は、これまでも農作業のパソコン管理などに取組んできており、石黒教授が科学技術振興事業団のデジタルシティプロジェクトとして開発した今回のカメラ画像にも着目。同教授に呼び掛けて農業への活用を目指し、村が、‘実験台‘になることにした。

また、同村や和歌山市、宮城県気仙沼市の大島、奄美大島など山田村塾に参加している全国各地でこのカメラを設置し、遠く離れた地域を映像でつなぎ、児童が文化交流や意見交換する教育分野への取組みも進めていく考えだ。


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