日本経済新聞 平成14710日(水曜日)

大学発VBの素顔

ヴイストン

全方位センサーを実験販売

ヴイストンは1台のカメラで風景を水平方向にぐるりと360度撮影できる全方位撮影システムを用いた事業を展開している。全方位撮影自体は以前からある技術だが、カメラに取付ける全方位センサーに関する独自技術を持っており、大手企業との競合が避けられる分野での成長を模索している。

センサー内で光が乱反射すると、実際は1つしかない物が2つ写ってしまう現象が起こる。乱反射した光は必ずセンサーの中心部を通るという性質を持つため、中心部に針状の金属を置いて乱反射を防いでいる。この技術を提供したのが和歌山大学の石黒浩教授。レンズの形状などを工夫する他の方法に比べ、小型化できるうえに試作も容易になる。石黒教授が取締役として研究開発を統括し、会社運営の実務は大和信夫社長=写真が担当している。

全方位撮影システムについては、シャープが防犯用として、商品化する方針を表明している。この分野で正面からぶつかっていく考えはないが、「有望市場がどの分野なのかはまだ調査中」(大和社長)

現在は大学や研究機関にセンサーや全方位撮影システム用の画像処理ソフトを実験的に販売している段階。石黒教授はヴイストンを「大学の技術と中小企業を結びつける仲介会社」と考えており、今後は中小企業との連携も積極的に進める。

本社  大阪市

設立  20008

社長 大和 信夫

従業員 4

売上高 2740万円 20019月期)