産経新聞                             平成14年10月30日(水曜日)

元気の素  関西発

よしだが行く!!!

ヴイストンの最大の特徴といえば、この会社が産学官から生まれたということでしょう。

「産」は日本LSIカードの大木信二社長(故人)とシステクアカザワの赤澤社長。

「学」は技術の発明者で特許保有者である石黒浩和歌山大学システム工学部教授。

「官」は当財団が運営する島屋ビジネスインキュベーターです。日本LSIカードもシステクアカザワも島屋のOB企業でした。この全方位センサのビジネスプランは大阪市の主催する「ベンチャービジネスコンペ2000」で産学連携推進賞を獲得しています。

「あらら、大和社長はどこで出てくるの??」って思ってる読者のみなさん。大和社長はここから登場します。

大和社長は独立心志向の強い青年で35歳までに事業を興したいと思ってましたが、独立準備のために退職してビネスプランを練っていたときには、すでに37歳になってはりました。そのころ、お父さまが入居してはった島屋ビジネス・インキュベーターが企画したアメリカ東海岸への視察ツアーに参加しはりました。このツアーに大木社長、赤澤社長も参加していました。

帰国した大和さんは自分のビジネスプランを見てもらうために大木社長に連絡しました。そしてら、「ちょうどええ。赤澤社長もいはるから、すぐ来い!」という話になったので、一目散で大木社長の元へ・・・。「そのプランはええから、それより、大事な話があるんや」と石黒教授が研究されている全方位センサの話ばっかり。揚句の果てに「これを事業化する。どうや、大和君、社長やらんか?」との話になりました。なんのことやらチンプンカンプンの大和さん。この話が平成12年4月。8月にはヴイストン株式会社は誕生し、同時に大和社長も誕生したわけです。大木社長との出会いが大和社長を生みました。みなさん、出会い頭には注意しましょう。(笑)

「僕らはアイデアで商売をしてるわけではありません。製造業なんです」大和社長は特許についての考えをここから話し始めました。「特許のライセンス料で金持ちになった人なんていません。その特許をベースにした実業、事業があります。僕たちも全方位センサの特許をお金に換えるという発想はありません。ここから商品なりサービスを生み出すことが目的であり、それが収益の源泉と考えています。

ただ、特許を持っているということは相手が大企業であっても同等な立場でアライアンスが組めるというメリットがあります。特許、知的財産とは・・。今あるものを言うのではなく、未来に渡って次々に新しい技術を生み出せる力のことだと思っています。」うーん、なるほど・・。

それにしても、いろんな社長とお付き合いがありますが、防衛大学出身はお初でした。残すは東大だけかな。(笑)

(大阪産業創造館あきない・えーど所長 吉田雅紀)